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ひでちゃんのこと。
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春の献労のメインは筍掘り。
みんなでシャベルやら、つるはしやら抱えて竹林に入って筍を探す。
見つけると喜々として掘り出していく。
つるはしを振りかざすひでちゃんの姿はなんだか似合わなかった。
それでも一所懸命、楽しそうに掘ってた。


私は研修生になって3か月目になる頃、
そろそろちゃんと進路を決めたいと思った。
いつまでも親にお金を借りてばかりもいられない。
でも家には帰りたくないし、
ここに奉職するのもなんか違うし・・と悩んで
やっぱり京都で働こう!と思った。
京都なら私が憧れてた染織の仕事があるかもしれない。

実は宇治に行く前に地元の青年会の人から教化部の職員を募集してるって話を聞いてたから
1か月前メールで、教化部ってまだ募集してますか?って聞いたけど
ずっと返事がなくて、きっとこれはだめだと思って
もう京都にいればいいやって思っていた。

それからいろいろ求人雑誌見たりして真剣に探すんだけど、あんまりピンとこない。
宇治市内で就職した人もいるから私もそうしようかな・・
とかいろいろ考えて探してみたけど合いそうな仕事がなかった。

いちど阿部先生に、
「京都で働きたいです。」
って言ったら
「ここ(宇治)は?」
って言われたけど、なんかちがうような気がしたので
「いや、なんか京都で染織関係とかそんな仕事がしたいです。」
って言ったらやっぱり先生は
「祈りましょう。」
と言った。

ああそうだ、もっと神想観しなくちゃと思って
その頃から早朝行事の前、朝4時半からの幽斎殿の神想観に通い出した。
決心すると不思議と毎日4時には目が覚めた。
早朝の幽斎殿は最高に気持ちが良かった。
清水さんも毎朝必ずその神想観には出ていた。
その話をひでちゃんにしたら
「じゃあおれもやる」
って言い出した。
でも神想観より末一稲荷神社で聖経読誦するほうがいいなって言って、
ひでちゃんは早朝行事前に末一で聖経を読誦するようになった。

毎朝ちょうど神想観を終えた清水さんと私が末一の前を通ると
聖経読み終わったひでちゃんが降りてきたので、
あのときは3人でよく朝、大拝殿まで一緒に歩いた。


ある日宇治のハローワークに行ってみようと
自主研の日に行ってみた。もう4月のおわり。
いろんな仕事があった。
染織関係もよさそうなのが4、5件あったから
面接してもらえるか問い合わせてもらった。
でもことごとくだめ。
というかみんな連絡つかずにどれも面接してもらえるところまでいかなかった。
けっこうがっくりして本山に戻った。
京都らしい仕事だったのになあ。

その日の夜、私に電話がかかってきた。河合さんだった。
「すぐ愛知に帰ってきて。教化部に決まったから。」
目が点になった。え?なんで?どゆこと?
なんだか私の知らないうちに話が進んで決まってしまったらしかった。
まるで心の準備ができていない。
「とにかく5月の全国大会に来て」
ということになったのでばたばたと宇治から行く事になった。

次の日、長田先生に報告しに行った。
長田先生も目が点になって
「え?」
と言った。
「そうですかあ。」
と言った。
この時 あ、私愛知に帰るんだ。またあの家で暮らすんだ。
と気づいた。

練成部から出たら、ひでちゃんがいた。
たぶん神想観のテストを受けるために待っていたんだと思う。
「私、愛知の教化部で働くことになったんだ。」
って言ったらひでちゃんはびっくりして、急にさみしそうな顔になってしまって
「そうなんだ。おめでとう。」
と言った。
私は自分のことで頭がいっぱいだった。

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