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ひでちゃんのこと。
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駅に着いて、改札を降りたらひでちゃんのお母さんが一人で待ってくれていました。
私は思わず走って駆け寄り、ひでちゃんのお母さんの手を握りました。
そこでその日初めて涙が出てきました。
 
「私はよしみちゃんを待っていたのに、たくさんのお友達が一緒だったんだね」
と一緒に来たみんなを見て言いました。
 
雑居ビルの建物の中の一つに大きな看板があって、よく見るとそれはひでちゃんの葬儀の看板でした。
なんだか信じられない思いで建物に入りました。
 
小さな部屋にひでちゃんのお父さん、お兄さん、妹さん、そして箱に納まってしまったひでちゃんがいました。
 
ひでちゃんのお父さんが私の肩に触れて言いました。
「あなたがいなかったら、ひでの人生はどんなに寂しいものだったろう」
 
ひでちゃんの顔は安らかでした。
出会った時のままの顔でした。
でもそこにひでちゃんはいませんでした。
 
「あー空っぽだ・・」
 
体は道具に過ぎないということを初めて理解した瞬間でした。
ひでちゃんは今どこにいるんだろう。
 
ひでちゃんのお母さんが泣きながら話してくれました。
ゆうべ眠っていたら夢だったのかどうかわからないのだけれど、
あたたかい光が降ってきて、体をマッサージしてくれたように感じた。
生命って光なんだと感じたと。
ひでちゃんが教えてくれたと。
 
ひでちゃんは入院中、薬の副作用で顔が腫れていて、亡くなった直後も腫れたままだったそうです。
 
亡くなった日に、たまたま宇治の先生と職員の人が東京に来ており、連絡を受けてすぐかけつけてくれたそうです。
 
連絡をしてくれたのは岡田くんでした。
 
ひでちゃんが亡くなって最初に駆けつけてくれたお二人は、彼の霊前で聖経を読んでくれたそうです。
 
そうしてしばらくしたら、ひでちゃんの顔の腫れが引いていたというのです。
 
私が見た時はちゃんと、出会った時のままのかっこいいひでちゃんでした。
 
葬儀の間、ずっとうつむいてひでちゃんが今どこにいて何をしているのか考えていました。
きっとこの様子を切なそうに見ているんだろうな。
家族のそばに寄り添っているんだろうなあ。
 
最後お別れの時間に一人ずつ花をお棺に納めていきました。
私はひでちゃんの顔をちゃんと見て
「ありがとう」
と言い、足元に自分がずっと使っていた聖経を入れました。
 
そのあとあっと言う間にひでちゃんは運ばれ、黒い車に乗って行ってしまいました。
 
外はあまりにも晴れていました。
まるで春の陽気でした。
私の歪んでいた顔はもとに戻っていました。
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