ひでちゃんのこと。

「別れの日の記憶」に書いた私の様子は、ずいぶん冷静な表現になりましたが、
冷静だったのではなくて、ショックが大きくて思考回路がうまく回っていなかったのだと思います。
恋人のお葬式に冷静でいられるばずがありません。
顔が歪んでいたのはそのせいだと思います。
 
あの時は、感情がうまく表現できませんでした。
だから、思いっきり泣いたり叫んだりができませんでした。
今思うと、ずいぶん周りの人たちは気を使ってくれていたんだなあと思います。
帰りの新幹線で私は何かぽつぽつと、岡田くんにずっとひでちゃんのことを話していました。
たぶん、朦朧としながら。
聞いている岡田くんはきっとしんどかっただろうなあ。
本当にありがとう。
 
その後の私は、自分の身に起こったことで心も頭もいっぱいで、ほかのことに目を向ける余裕が全くありませんでした。
そのせいで、なかなか人の言葉に耳を傾けることができず、慰めの言葉も、励ましの言葉も、受け入れられずに反発し、怒りの感情でいっぱいになってしまいました。
 
感情がはっきりしてくると、毎日毎日泣くようになりました。
怒りの感情も様々なものに向けられました。
私も死んでしまいたいと思うこともありました。
 
でもそれは必要な時間でした。
 
頭で理解するのは早いですが、心で理解するのは時間がかかるのです。
 
それで良かったのだと思います。
 
彼はその間ずーっと、私を助けてくれていました。
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